フランス映画と焼きナス、マニキュア|  72 patternworks(72パターンワークス)アートコラム

フランス映画と焼きナス、マニキュア

今日は11月1日で、1日といえば映画の日。

先日たまたま目黒を訪れた時、そういえば目黒には「目黒シネマ」があったことを思い出した。

目黒シネマは、監督別などテーマを持たせた映画を2本立てで観せるスタイルのミニシアターで、2010-13年あたりだろうか。毎日のように映画を観ていたある時期は、よく足を運んでいた。

今週の上映作品を調べるとゴダール作品2本立て。悪くない。久しぶりにフランス映画でも観に行こうかな🎵

8時30分ころ目覚め、11時~、14時~のどちらの上映時間にしようかベッドの中で思案する。今から朝食をとり洗濯物を干し、身支度を整えれば11時の回に間に合いそうだ。

そうと決まればすくっと起き上がり、軽いストレッチをする間にお湯を沸かし、お白湯を飲み、チーズ乗せパンを焼いているうちに洗濯物をやっつける。

パンをかじりながら洋服のコーディネートを考え、マニキュアもしたかったけれど乾かす時間はないと諦める。

電車の時間まであと45分。

そう思って食器を洗っている時、昨日八百屋で買った小ぶりのナス7本が目に入る。

ナス7本をどう食べるか、焼きナスにしておいたらちょっとしたおかずになるなと思い立ち、突如フライパンに7本のナスを並べて火を入れる。焼きナスは熱いうちに皮をむくのが大切だけど、7本の小ナスの皮を時間内に剥き終えることはできるのか、いやもう火を入れているから後戻りはできない。

とまあ女の頭は、朝から同時多発的にものごとを進行させたがる。

結果的に言って、焼きナス作業は11時からのフランス映画に間に合う作戦には完全に余計だった。

軽くお化粧しながら、ちらちらナスの火にあぶられ具合をうかがい、出発時刻の5分前、つまり約5分間だけ、ナスの皮剥き用の時間を捻出する。

これからステキなアンナカリーナの姿を堪能しに行くに際して、何だってわたしはナスの皮と格闘してるのよ・・w 7本中皮を剥げたのは3本。残り4本については帰宅したら剥いてあげるとしぶしぶ諦め、小走りに駅に向かう。

1作品目のアンナカリーナは娼婦で、たくさんの男と寝た。セクシーでガバガバタバコをのみ酒をのみ、夢が遠くて絶望していた。お金がなく、堅気な恋愛も許されず、最後は不憫にも撃ち殺されてしまった。

2作品目のアンナカリーナは、惚れ惚れするほどスタイル抜群でストリッパーをする女だった。愛する男と暮らし、子供がほしい一心で男を困らせ、浮気したり、悪態ついたりした。

1つ目も2つ目の作品も、女という生きものがしっかり描かれていて、ゴダールのすごさとアンナカリーナの演技のような実像のような姿にホッとした。

女はやはり怪人二十面相だ。遅かれ早かれその100面相ぶりを実感することになる。女ならば。

前日はたくさんの言葉をライティングし、次の日は朝からフランス英語をみようと思いついてウキウキし、その間にも焼きナスを焼き、全てこなせずがっかりし、映画の中の女優に自分の本質を投影してホッと安心し、やはり自分は女であると深く実感する日曜日。

満ち足りた気分なのか早起きしたからか、今日はずっと眠く、帰って昼寝をした。そのあと冷たくなった残りのナスの皮を剥き、お風呂に浸かり、湯上りにはお気に入りのマニキュアだ。

フランス映画に、焼きナスにマニキュア。私の今日1日もやや騒々しく、キュートに仕上がった。私は女である。

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