「さかな1ぴき なまのまま」という絵本。絵は作者は大好きな佐野洋子さん。「100万回生きたねこ」や「おじいさんのかさ」など、すんばらしい作品を多数生んだ方ですね。
「さかな1ぴき なまのまま」は、おばあちゃんと暮らしている、元気な男の子のねこが主人公。
佐野さんの絵本って、元気な男の子のねこがよく登場しますね!
男の子のねこは、ある日友だちがほしくなって、友だちを探しに出かけていきます。お話は、一緒に豆の皮むきをしているおばあちゃんとねこの男の子のこんなやりとりからはじまります。
「ねえおばあちゃん、おばあちゃんのともだち だあれ?」
「わたしのともだち?ねこちゃん」
「それから?」
「それから このおまめ」
「それから?」
「それから てんきのいいひは おてんとさま」
「それから?」・・
わたしはこのおばあちゃんの「わたしのともだち?ねこちゃん」という一言に、いきなりグッと心を掴まれたように思います。佐野洋子さんとは、どうしてこう、とてもウレシイ、骨太な言葉をひょいっと書けてしまうんだろう。貫禄でございます。
説明的な文章はこれっぽっちもない。けれどこのお話には、「お友だちってどんなの?」という問いへの答えが、何ページにもわたって、ずっと書いてある気がします。こういう本って、たくさんありそうで、実はそう多くはないと思う。
それにとにかく男の子のねこちゃんが、VERY VERY CUTE!ですw。いい感じの木陰を発見して、そこで昼寝したあと、「ああ、いいきもち。ねむったあとっていいきもち」と言っていたり。紆余曲折?ありつつ、最終的にお友だちになっていくへびとのやりとりもいい。
ゴツゴツしていて、それでいて終始やわらかい。何だかそういった、何かと何かが友だちになっていく道のりがおもしろく描かれています。
それにしても、ねこを作品に登場させる作家さんは多いですね。私生活でも、ねこをたくさん飼っていたり、ねことみると放っておけない作家さんもいたり。わたしの好きなところでは内田百聞。「のらや」はよい作品でした。そういえばあのチャンドラーも、無類のねこ好きなんだぞと、わたしのお友だちが話してくれました。
※絵本の表紙絵はお借りしました。