田辺聖子と思うこと | 72 パターンワークス ブックレビューコラム

田辺聖子と思うこと

田辺聖子の3部作を読んでいる。 文章の歯切れがよくてスイスイ読めちゃうし、主人公ののりこがかっこよくて、健気でキュートで歯がゆくて、読むほどファンになる。

親友の美々もいい。田辺聖子の描く女はみな、すごくいい。

田辺聖子は、大学時代の親友に教えられた作家。教えてもらったのは10年ほど前かな。

当時、その友人は田辺聖子を精読していて、私はたしか江國香織や円地文子にはまっていた。

「今は読みたい本が溜まってるから、気が向いたら田辺聖子も読んでみるね」という感じだったけれど、教えてもらった当時は田辺まで手が回らなかった。

今、その彼女とは会えていない。数年前に仲違いしてしまった。20年近く友達でいて、お互いに相容れない部分が目立ってきてしまったのだろう。

当時を思い出すと、私は彼女の発言に疲れてしまうことが増えていて彼女を大事にできなくなっていたし、彼女も私に憤りとか不満とか、いつもいろんな感情を持っていたように思う。

ただ色々イヤだと思う部分はお互いにあっても、根本的に、私は彼女が好きだった。

でも会えなくなってしまった。

それなりの年数を生きると、思いがけないことも起こるし、大きな後悔も出てくるもので、彼女と会えなくなってしまった事は、私の人生の中の後悔5本指に入るだろう。

頭がよくて、おもしろくてかわいくて、何より大変な努力家だった。なぜかいつも私を鼓舞してくれ「こうちゃんには才能がある」と言い続けてくれた。

私は直接言えてはいないけれど、ずっと心の中で彼女に感謝してる。

バカなことをしそうになったらいつも叱ってくれ、助けてくれた。才能があると言ってくれた。最高に楽しい時間をたくさん一緒に過ごしてくれた。20年近くも友達でいてくれた。そして、思いやりのない言動を繰り返していると大事な人を失くしてしまうことを、身を持って教えてくれた。

古本屋でたまたま見つけた田辺聖子を、このタイミングで手に取ったのもやはり彼女の影響なのだろう。

関西の女流作家である田辺聖子の小説には、彼女の通っていた神戸のお嬢様学校も出てきて、「あ、ここは!」などを思う。

彼女はきっと東京でバリバリと働き、何だかんだいいながらよい妻もしているんだろう。 もう会えないままかもしれないし、もしまた会えたら素直にうれしい。

でも何とか手繰り寄せようとはしないほうが、今はいい。 なんか、そういう人だ、彼女は。

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